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日経「広告手帖」増刊号

これからの日本の流通業に求められる人材とは

代表取締役 幡地 嘉代

 

規制緩和により、日本の流通業界は自由競争社会のまっただなかに突入しています。

1990年代中頃からは、大店法の段階的緩和に日本国民の大幅な所得増加もあいまって数多くの外資系小売業が日本に進出してきました。それらは、狭い日本の国土では想像も出来ない大型店舗に、豊富な品揃えを持ち、楽しくワクワクするような「エンターテインメント性」に溢れています。また、世界的な大量販売・大量仕入れを背景に、ローコストオペレーションを可能にしていますし、国内のアウトレットモールも目標を上回る業績を上げています。

 

さらには、「IT革命」により多くのニュービジネスが誕生していますが、これは、パソコンの高性能化や低価格化が加速度的に進み、多くの企業や個人がその能力を活用出来るようになったためです。パソコンの世帯普及率は、平成11年には約3割にまで上昇し、インターネットの世帯普及率は平成5年の商業開始以来わずか5年間で11%にまでなっています。

 

通産省によれば、日本の企業間電子商取引は、平成10年には9兆円でしたが平成15年には7倍強の68兆円に拡大すると予測されています。消費者もインターネットを通じて情報を入手するのが当たり前になりました。企業と消費者間の電子商取引についても、3.16兆円にまで市場が膨れ上がりそうです。電子商取引は今後も拡大していくでしょうし、同時にこれまでの取引には大きな変化が表れてくるでしょう。

 

外資参入による 求められる人材の変化

実際、外資系流通業の参入や情報革新によって、流通業に最も大きな影響を与えているのが「顧客対応」です。日本の流通業ではあまり認められなかった「返品自由」制度も多くの店に浸透していますし、顧客カードに基づく顧客サービスの徹底、特定の顧客に対する優待システムなども、日本でも徐々に導入が進んでいます。これは、お客様が希望する商品を単に仕入れて売るだけではなく、「お客様に選ばれる店」になることを目指していることの表れです。そのために、コストをかけて高度なデータベースが構築されています。

 

ネット通販で成功している店は、間違いなく自社の強い「カラー」を持っています。専門性の高い商品、経営者の明確なビジョンに加え、一人一人の顧客に対するきめ細かい対応を怠りません。また、アメリカの小売店では「ネバーフッド・リテイリング(一人一人の顔が見える接客)」が見直されていますが、日本でも専門知識を持った販売員などのコンサルティングの価値が重要視されるようになっています。

 

このように刻々と変化する日本の流通業に携わる人材には、専門的な知識と高いコミュニケーション能力が要求されます。特に、企業も個人もITとは無関係ではいられない現在、いかに情報ツールを使いこなし、革新スピードに対応していけるかが力量の分かれ目です。また、「セルフ・コーチング」ができる人材を多く抱えられるかどうかが、企業力に差をつける切り札になるでしょう。流通業の変化スピードは速く、価値観は刻々と変化します。その中で、自分で自分をコーチし、目標達成に向けて常に何をすべきか考え、スピーディに行動できる・・そんな人材こそが、顧客の動きに対応し勝ち残る企業を作ることができると考えます。そして、企業は顧客との接点を活性化する為の独自の教育体系を構築することが課題となるでしょう。